2013年08月

最近の修復作業2013夏。(裾溶接編)

こんにちは。

どうも最近レポートが滞りがちで、楽しみにしていらっしゃるみなさんには大変申し訳ない限りです。

修復作業自体は結構ペース良く進んでいます。特に、頭痛の種だった腐食でグザグザだった外板裾の修理が進んでいるのはちょっと自慢^^

まず、外板の腐食てのがどういうものかといいますと、左がデハ3499の車体裾断面の概略図なのですが、台枠の周囲をなす部分には高さ150㎜のチャンネル材(コの字材)が入ってて、これに柱が立って外板が張られています。で、外板とこのチャンネル材の隙間に、水分とか湿気が入り込み、ジワジワと鋼材を腐食していきます。で、しまいには外板に穴が開いてしまったり、外板裾まで広がって鉄板がペナペナになってしまうこともあります。デハ3499の場合は、特に電気側側面裾が相当酷く腐食していました。よく言われるとおり、戸袋(ドアが開いた時の収納部)の中は特に水が溜まりやすく、傷みも進みやすいです。また、かつてこの電車が置かれていた金沢八景という場所が海に近いせいでしょう、塩害の影響も相当大きいと考えられます。デハ3499の場合は、この外板内側と台枠側梁上部が接する部分が帯状に集中して腐っていて、これ以外の鋼板はほとんど健全でした。あとは雨水のしみこみと、ナンバーがアルミ製なのでボルタ電池状態になることもあるのか、特に空気側の側面ナンバー周辺にも腐食が見られました。

これをどうするか、ずーっと頭痛の種になっていて、もはやパテなどでごまかせるレベルではなく、切り落として溶接修理しないとまずい状態。東急車両の方には、上からステンレスの薄板を張ってリベットでごまかしちゃえば、なんて言われたんですが、どうも納得いかないわけでして。あまり火(溶接)入れないほうがいいよ~なんて言われたものの。

いくら板貼った上ならパテでごまかせるっていっても、ちゃんと直したい、って思いますよねー?

昔の電車なので、外板は車体強度を担っていません。それを裏付け、この電車の車体構造を理解するうえで極めて貴重な資料と見解が載っているのがレイルマガジン誌1988年9月・10月号の「ハイテク・電車ファン入門」です。京王帝都電鉄の大卒技術系キャリアで在職され、名車5000系の生みの親とも言われる合葉博治氏の記事は、実物、模型と大変興味深いものばかりなのですが、ここにはデハ3450の弟分、デハ3500についての解析が載っています。

「デハ3500外板を全部はぎ取って骨だけの姿にして、列車に挿入して回送できると思う。当時の鋼製車体は、主として台枠と骨組等の主要部材で車体強度を持つ設計とされていたからである。」

この一文に、どれだけ安心させられたか分かりません。とりあえず、骨組みさえ傷めなければ電車として成り立つことを、この一文が現しているわけです。改めて亡き合葉氏に謝意を申し上げたい思いです。

そういえば、陸送の際にトレーラーの運転手さんが、「今の電車よりも足回りがしっかりしてる」と言っていたのを思い出します。おそらく台枠で8割位持たせていて、、側構は車体の垂直荷重をある程度支える位の強度、屋根に至っては細いアングル材を使ったアーチ状の垂木が枕木方向に入っているだけなので、側構が幅方向に開いてしまわず、屋根板を張れる位の強度しかないという、そんなイメージでしょうか。

で、ある方から溶接機を借り、穴が開いている箇所をサンダーで四角く切り取ってみたら…

「バサッ」と音がして、堆肥のような、少し湿った茶色い粉が下にこぼれ落ちたりするわけでして。
こんなのが電車の一部だったと思うと、なんだかゾッとしますなあ~。

「堆肥」を全部のけて、下地を磨いて、錆止め塗ったら、溶接作業開始です。

板を穴に合わせて切ってお借りした電気溶接機でバリバリと…といきたいところですが、そう簡単に火花は飛んでくれません。

こういう機械。100Vのインバータ溶接機。

ジュー、ビチビチビチとマグマみたいに溶けてくれればいいんですが、大概棒が貼り付いて取れなくなったりして、時間と溶接棒を浪費しつつけてしまったりするわけです。更に、腐食して肉厚の薄い箇所だと、溶接の熱で溶けて穴が開いてしまったりして…

一回りなんとかやってこんな感じ。

お世辞にも褒められたものではありません(涙

オラ、がんばったんだヨォー!なんて叫びたい気分です。

機械のせいではなく、私の腕のせいです(泣

こりゃー時間かかるべなーなんて思っていたんですが、ある時期からちょくちょく来てくれる方がいて、そのお方が実は溶接モノでいろいろこさえてくる、なかなかに器用なお方なのです。とにかく技術を持ってる人は何よりありがたい。渡りに船とはこのことですな。

てわけで、その方に無理をお願いして、エンジンウェルダーを軽トラに積み込んで持ってきて貰ったわけです。百数十キロあるからめんどいんだよなーなんていう氏でしたが、やはり効果は絶大なのでした。もう思い切って、裾から250㎜のところでバッサリ切って張り直し!ということになったのです。台枠に接する部分は板に穴をあけてスポット溶接がわりに溶接してやるわけです。

そして…。

なんだーきたねーじゃん、とか言わないで欲しいなあーと思うのです。何しろ画面左下側の腐食が一番酷い箇所で、ほとんど外板が無くなってしまっていたから。

この上からせっせとパテ盛って研いであげれば、ピッカピカになってくれるわけです。

というわけで、反対側(空気側)は裾を全面的に張り替える事と相成ったわけでした。傷んだ鉄板はなくなるし、湿った錆粉は全部吐き出せるし、ありがたや~。

* * *

次回の活動日は8月31日と9月1日の予定です。お暇な方は是非お越し下さいませ。屋根修理とか空気側外板剥がし等を予定しています。
本気出したい方は汚してもいい作業着と安全靴、作業用革手袋と防塵マスク必携です。ヘルメットは一応ありますが、出来れば持ってきて下さいね。

ではまた~。